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- 入れ歯による治療
「入れ歯」というとなんとなく、年寄りじみた気がしないでもありません。
でも、なくなった歯を悔やむより、入れ歯によって、これからの暮らしを快適にすることの方がもっと大切です。食べる楽しみ・幸せを維持するためには、顎の骨、歯、歯肉などお口の中の健康状態を保つための計画的管理、メンテナンス治療、筋肉、唾液腺の機能を維持するための検査やトレーニングなどを行うことが必要です。しかし、入れ歯が合わない、噛めない、壊れてしまったなどの理由で毎日我慢している患者様は多くいらっしゃいます。そのような場合は、新しい入れ歯の作成をおすすめする場合があります。
入れ歯(義歯)が合わないことによって起こること
噛み合わせが安定しない
入れ歯は軟らかい歯肉粘膜の上に乗っています。残っている歯や顎の骨・粘膜の形状・高さ・筋により入れ歯の安定感は変わります。入れ歯の安定感が悪かったり、痛みがあったりすると、無意識のうちに噛み合わせが合わなくなっていきます。
胃腸に負担がかかる
入れ歯によって噛む力は自分の歯の20~30%程度と言われています。噛む力が弱くなれば食べ物を噛み砕くことができずに、胃腸に負担がかかってしまいます。
顔にしわが増える
顔の皮膚はその下にある表情筋(ひょうじょうきん)や咀嚼筋(そしゃくきん)によって支えられています。入れ歯が合わず、噛む力が発揮できないと筋肉のハリ・ツヤが衰え、しわが増えて年寄じみた顔になってしまいます。一方で入れ歯がぴったり合う患者様の方が食べる楽しみがあり、若々しい印象があります。
残っている歯に過剰な負担がかかる
入れ歯が合わないと、入れ歯が動いてしまい、フックがかかっている歯が揺れてきてしまいます。また、それ以外の残っている部分の歯でばかり噛むようになり、負担過重により残っている歯の寿命が短くなります。
認知症のリスクが上がる
噛む行為は脳を活性化させます。しっかり噛むことができないと脳が委縮し、認知症の原因になることがあります。
新しい入れ歯を作成する場合の治療の流れ
① | レントゲン検査などで、抜かなければいけない歯がある場合は麻酔をして抜歯を行います。その際、骨・歯肉の形態が改善するまで3〜4ヶ月位の歯肉の治りを待つ必要がある場合があります。 |
② | 仮の入れ歯の作成が必要な場合は仮の入れ歯作成いたします。新しい入れ歯作成の前に、元となる物を作成することで、有益な情報を得ることができます。すでにご利用の入れ歯をお持ちの場合は、それを修理調整するなどしてしばらくご利用いただきますので、必ずご用意ください。お持ちでない場合は、仮の入れ歯を作成する場合があります。その場合、型をとってから、完成まで週1回の御来院の場合で、4〜5回前後(1〜2ヶ月)必要な場合があります。(自費になる場合があります) |
③ | よく噛めて、美味しい食事ができる入れ歯を作成するためには、
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④ | 新しい入れ歯の型を取ります。(1〜2回) |
⑤ | 咬合床という新しい入れ歯の元となる物を作成し、顎の運動、噛み方、噛む位置を観察・確認します。 |
⑥ | 歯を並べた咬合床にて再度、顎の運動、噛み方、噛む位置、歯の色、大きさ、形などを観察・確認します。 |
⑦ | 入れ歯の完成です。お口に馴染んで噛めるようになるまで、しばらく数回位調整にご来院が必要です。問題点などありましたら、遠慮なくおっしゃって下さい。 |
入れ歯の種類(自由診療)
「金属床」は、部品に金属を取り入れることで薄く仕上げた入れ歯です。保険診療の入れ歯が2〜3ミリほどの厚みなのに対し、金属床は約0.5ミリで済みます。薄くてフィットしやすいことに加え、食べ物の味や温度を感じやすい、割れにくい、歯に負担の少ない設計ができる場合がある、などというメリットがあります。
見栄えのよさが「ノンクラスプデンチャー」という部分入れ歯の特徴です。こちらは金具の代わりに、歯や歯茎と同じ色のプラスティックを使います。
保険の入れ歯
保険の入れ歯でも十分ご満足のいただける場合は少なくありません。また、自由診療だから完璧な入れ歯になるという訳でもありません。
高齢で顎骨が高度に吸収し、噛む力が弱くなっている人や、予算的な都合がつかない人には保険の入れ歯をおすすめしております。
保険適用の枠組みに準じた方法・材料により、金属のフックとプラスチックの歯と歯肉で作られています。保険診療3割負担の方で1装置につき5,000円~10,000円程度です。
仕様が規格化されているため、動きやすい、目立ってしまう、残存歯に負担がかかりやすい、強度不足で割れやすい、厚みがあるため発音・味・温度などの感覚に問題が出やすいなどの欠点が出る場合があります。
合わない入れ歯を使い続けていると、噛み合わせが悪くなり、新たな問題の引き金になります。食べ物を噛む能力が低下すれば、胃腸に負担をかけてしまいます。残っている歯にも負担となるので、結果として他の歯の寿命を縮めてしまうことにもなりかねません。
お口の状況によっては適応できないものもありますが、まずは歯科医師の話を聞いてみてください。できることの中から、ご自身に合った選択肢を見つけていきましょう。